日本書紀研究ノート(2)
『いち』の研究

岩波文庫『日本書紀』(一)〜(五)坂本太郎、家永三郎、井上光貞、大野晋 校注より
よみかた


内容
岩波文庫
原文
よみ
原文
1
いつきしまひめ
 人名。素戔嗚尊の剣から生まれ、宗像の社に坐す。164438
神代紀
市杵嶋姫
1
あゆちのむら
 地名。【尾張の国の吾湯市の村】景行紀には年魚市郡。他に阿育知郡。続紀において愛知郡。和名抄に【阿伊知】。196488
神代紀
吾湯市村
2
あめのたけち
 地名。【八十万の神を天高市に合めて】高市は市を行う小高い所。飛鳥の地名を以て天上界にあるもののように取り扱っている。1138460
神代紀
天高市
4
とをちあがたぬし

人名。十市は地名。和名抄には【十市<止保知>】1262497
孝安紀
十市縣主
5
とをちにいりびめのみこと
 人名。十市は大和国十市郡の名によると思われる。1276503
崇神紀
十市瓊入姫命
5
いちしのながおち
 人名。垂仁紀3年に倭直祖長尾市の記述あり。1280504
崇神紀
市磯長尾市
5
おほち
 地名。和名抄に【大和国城上郡大市<於保以智>郷】がある。倭迹迹日百襲姫命を葬った地(箸墓)。今の奈良県桜井市北部。1292498
崇神紀
大市
6
やまとのあたいのおやながおち

人名。新羅の天日槍(あめのひほこ)が播磨の国に到着したとき、三輪君祖大友主とともに派遣され、尋問した。222459
垂仁紀
倭直祖長尾市
6
いちかは
 人名。【春日の臣の族、名は市河をして・・】。姓氏録大和皇別には『布留宿禰』。また『布瑠の市川臣』があり、同一と考えられる。250466
垂仁紀
市河
7
つ ば き ち
 地名。【其の海石榴の椎を作りし処を海石榴市と曰ふ】270473
景行紀
海石榴市
7
い ち ふ か や
 人名。熊襲梟師(くまそ たける)の娘。姉。274473
景行紀
市乾鹿文
7
い ち か や
 人名。熊襲梟師(くまそ たける)の娘。妹。274473
景行紀
市鹿文
7
ふるいちむら
 地名。【白鳥更に飛びて河内に至りて舊市の邑に留まる】。日本武尊の物語。2106483
景行紀
舊市邑
7
あゆちのこほり
 地名。【尾張国の年魚市郡の熱田社(をはりの くにの あゆちの こほりの あつたの みやしろ】2108483
景行紀
年魚市郡
12
いちのへのおしはのみこ
 人名。【磐坂の市邊押羽皇子】。市邊は地名で大和国山辺郡、現・奈良県天理市布留付近。2290538
履中紀
市邊押羽皇子
12
いちしのいけ
 地名。【磐余の市磯の池に・・】。現・奈良県桜井市池之内。天香具山の東北にあった池か。2292538
履中紀
市磯池
14
いちのへのおしはのみこ
 人名。神功紀【市邊押羽皇子】に同じ。市邊は地名で大和国山辺郡、現・奈良県天理市布留付近。322414
雄略紀
市邊押磐皇子
14
ふるいちのこほり
 地名。【古市郡人書首加龍(ふるいちの こほりの ひと ふみの おびと かりょう)】。和名抄にも古市郡。今の大阪府羽曳野市古市周辺。364426
雄略紀
古市郡
14
えかのいち
 地名。【餌香の市邊の橘の本(もと)の土(ところ)】。大和川と石川の合流点付近にあった市。古代の市には木陰を作るための木があった。370428
雄略紀
餌香市
15
いちみやこ
 市は市場、朝は公の場所。【諸(もろもろ)の市朝に遇えば】どこの街や公の場所で出会っても(仇討ちをする)3126444
顕宗紀
市朝
18
とをちべ
 大和国十市郡の十市首(とをちの おびと)が管する部民。3222470
安閑紀
十市部
18
かふちのふるいち
 河内国古市。今の大阪府羽曳野市古市。【天皇を河内の舊市の高屋の丘の陵に葬りまつる】3224472
安閑紀
河内舊市
19
たけちのこほり
 地名。大和国の高市3326500
欽明紀
高市郡
20
あとのくはのいち
 地名。河内国説(和名抄に『河内国渋川郡跡部郷』)と大和国説(大和志に『大和国城下郡阿刀村』がある。桑市は未詳。436440
敏達紀
阿斗桑市
21
おほちのみやつこ
 人名。【大市造小坂(おほちの みやつこ おさか)】460447
用明紀
大市造
25
えちのはだのみやつこ
 朴市は地名。近江国。今の愛知郡(えちぐん)4252504
孝徳紀
朴市秦造
25
おほちのむらじ
 人名。4270510
孝徳紀
大市連
26
いちぶ
 地名。奈良県生駒郡生駒町の一分という。4345531
斉明紀
市經
27
えちのたくつ
 朴市は地名。近江国。今の愛知郡(えちぐん)。朴市秦造と同一人物。522380
天智紀
朴市田来津
28
たけちのみこ
 天武天皇の子。574393
天武紀
高市皇子
28
ふるいちのくろまろ
 人名。姓氏録河内諸蕃に古市村主を載せ「出自は百済虎王なり」とある。河内国古市郡に本拠を持つ氏族か。576394
天武紀
古市K麻呂
29
あはづのいち
 地名。粟津岡とセットで出てくる。滋賀県大津市膳所。596400
天武紀
粟津市
29
とをちのひめみこ
 天武天皇の娘で大友皇子の室。5122407
天武紀
十市皇女
29
かるのいち
 奈良県橿原市大軽付近にあった市。万葉集で柿本人麻呂の歌にも見える。5176422
天武紀
輕市


左から、『巻』は日本書紀の巻、『紀』は天皇紀。『備考』に「割注」とあるものは原文中の小文字割り注であることを表す。
右の『岩波文庫』『巻』は(一)〜(五)の別、『よみ』は読み下し文が、『原文』は原文が記載されたページ。
ページ割りは(一)2001/2/26第11刷、(二)2001/1/15第8刷、(三)2000/11/15第8刷、(四)2001/9/5第8刷、(五)2001/11/15第8刷による。