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音楽室第5話 ラッススのエコー


  30年ぶりに、ラッススのエコーを歌いました。 確かあれは・・・ 大学に入った年に歌って以来です。

  99年のフォンテの春の合宿は、 例年通り、 GW の真っ最中に、 河口湖畔の 「 合唱の家 おおば 」 で行われました。 5月2日 ( 日 ) 13時に現地集合、 それから5月4日( 火 ) の昼食後に終了するまで、 まるっきりの歌漬け ( 初日の朝、電車に乗ってから、 最終日の夕方に帰着するまでのうち、 半分は酒漬けとの声もある ) の合宿でした。
  そしてまた、近年の春の合宿で恒例になっているのが2泊目の夜のコンパ。ここでは酒の勢いも手伝って、いろんな出し物が登場します。ラッススのエコーもここで歌ったものです。

  この歌はルネサンス期の歌で、(合唱だから)みんなで山へ遊びに行って、声を出してみるとやまびこが返ってくる。そこで、 『 おお、気のいいやまびこ、いっしょに遊ぼう、・ ・ ・ 』 と遊び始めたものの、 『 ひとつ歌を歌ってもらいたいね 』 とやっても相手はやまびこ、結局オウム返しにしか答えてくれないから、 『 おだまり おだまり おまえこそおだまり おまえこそおだまりと喧嘩になってしまい、 『 もうけっこう もうけっこうでおしまいとなる物語。

  通常この歌は山へ行ったみんな、を多人数の第一コーラスで、やまびこ側を少人数の第二コーラスで歌います。 第二コーラスは第一コーラスと音形、歌詞とも全く同じで、最初から最後まで2拍分遅れて第一コーラスについていきます。
  今回は第一コーラスを指揮者・ボイストレーナーを中心とするカルテットで組み、第二コーラスに私やベースのパートリーダーが入ったカルテットで歌いました。
  こんな言葉は使わないでしょうが、ここでは第一コーラスを リアル、第二コーラスを エコー と呼んで話を進めましょう。


  2泊目の夜のコンパの出し物は、合宿がはじまってから人を集めて編成する、というにわか仕立てがたくさんあり、この曲もそうでした。 したがって練習は昼休みを使って、など、わずかな時間しかありません。それでもなんとかそろうようになりました。
  合唱の家 「 おおば 」 さんの食堂にはピアノがあって、その前をコンパのステージに見立てたのですが、ちょうどその場所は部分的な吹き抜けになっていて、2階の廊下がこれに面しています。そこでリアルの4人はステージに立ち、エコーの4人は2階の廊下からリアルの4人が歌うところを見下ろしながら歌いました。「 お客さん 」 からはエコーの4人は見えません。この演出も良かったようです。にわか仕立ての割には良かったとの評価でした。歌った自分はどう思ったかというと、程良く? 酒が入っていたので良くわかりません。ただ、気分はサイコーでしたが。

  ところで、全体を指導しながらリアルのテノールを歌った指揮者・唐沢先生は、「 エコー側の方が歌うのは難しいんだよ 」 とおっしゃいましたが、エコーのテノールを歌った私自身は全く逆のことを考えていました。
 まず、旋律も歌詞も、エコー側はうろ覚えでよい。すぐ先にリアルの歌い手が旋律も歌詞も示してくれる。それともう一つ、歌の表情も示してくれる。
  だからエコー側の歌い手は、歌い方もリアルの歌う通りにすればよい。(問題は最初から最後まで、正確に2拍遅れてついて行くだけ。) しかも、すぐ先に手本を示してくれるリアルの歌い手は、指導者ときている。これでは下手なエコーの歌い手でも、真似をしているだけでうまく歌えるというもの。(これは逆に言えば、リアルがヘタだったらどうしようもなくなる、ということでもある)

  この歌は個人レッスンにも使える歌ではないか、と思います。なにも、4声部そろっていなくても良い。1つの声部だけで、指導者と生徒と、2人だけで歌ってみるのも歌い方のたいへん良い練習教材になるのではないか、と思いました。


歌詞の意味は、日本合唱指揮者協会編 新リーダーシャッツ 混声合唱第1巻 によりました


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FURUICHI, Makoto 1999/06/20