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音楽室第25話 エンドレスの歌 正直爺さん 改訂版
~しりとり歌~

2021/2/2
改訂 2021/2/8
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50年前、1971年の、大学のハイマート合唱団の夏合宿は、信州の信濃平で、1週間かけておこなわれた。その中の1日、気分転換で近くの山へハイキングに行ったのだが。
登りみちを黙って歩くのも気鬱なので、2年上の4回生の中川さんの言い出しで、エンドレスの 「 正直爺さん 」 の歌を教えてもらって、それを歌いながら登っていった。
二、三十人が声を揃えて 「 正直爺さんポチ連れて・・・ 」 と歌いなから小径を登っていくのは、まるで幼稚園の遠足だった。

その歌がなかなか面白くて私の頭から消えないので、記憶が少々間違っているかも知れないけれど、敢えて記録しておきます。
・・・ と初版を掲載したところ、何人かの先輩から間違いの指摘をいただきましたので、早速改訂しました。

記事の内容は、次の通りです。

(1) 私の記憶では、こんな歌です (先輩方からのご指摘も反映済み)。 「 元歌 」 も検討します。
(2) 歌詞に異説あり。関東起源の歌と思うので、"異説"の方が正しいかも。


(1) 私の記憶では、こんな歌です。 「 元歌 」 も検討します。


♩=102,    付点のリズムは三連符で演奏する。

別ウィンドウで楽譜だけ表示

元歌の検討 :

・ 最初は 「 花咲爺(はなさかじじい) 」M34年。本来は、「 裏の畑でぽちが鳴く、正直爺さん掘ったれば・・・ 」 だが。

・ 次に 「 て 」 を受けて始まるのが 「 敵は幾万 」 M19年の詩から抜粋してM27年日清戦争時に成立。

・ 「 も 」 を受けての次の歌は、『 モモカラウマレタ、モモタロウ、キハヤサシクテ、チカラモチ 』 と歌い出す、田辺友三郎作詞の 「 モモタロウ 」 M33年 *(1)。 もっと一般に歌われることが多い岡野貞一作曲の文部省唱歌 「 桃太郎 」( 『 桃太郎さん桃太郎さん、お腰につけた黍団子・・・ 』 ) では、『 桃から生まれた 』 のフレーズが出てこない。

・ 『 もしもしか 』 の部分は、「 うさぎとかめ 」 M34年。

・ 『 かあかあからすの 』 の原曲探しは難しい。カラスを歌う歌には、「七つの子」(からす なぜ鳴くの・・・)T10年、 「夕焼け小焼け」(からすといっしょにかえりましょ)T8年、 「かかし」(2番に、山ではからすが かあかと笑ふ)M44、があるが決め手なく、ここでは成立年代不詳の・・野洲市乙窪のわらべ歌 『 カアカアからす、母(かか)の家が焼けた、はよう去(い)んで水かけよ、杓(しゃく)が無いなら貸したろか 』*(2) を挙げさせていただいた。 ・・・しかしこの歌は他の唱歌の成立に比べて、相当に古いのではないか。
似た歌が東京方面にもあるのではないかとも思う。他に、数え歌/縄跳び歌の 「 一羽のカラス 」 (一羽のカラスが かぁ~かぁ、二羽のニワトリ コケコッコー、・・・)などもある。

・ 次の、『 はとぽっぽ、ぽーっぽ、ぽっぽと飛んで遊べ 』 は、東くめ/滝廉太郎の「 鳩ぽっぽ 」 M33年 である。この歌詞は、『 鳩ぽっぽ、鳩ぽっぽ、ポッポポッポと飛んで来い、お寺の屋根から下りて来い、豆をやるからみな食べよ、食べてもすぐに帰らずに、ポッポポッポと鳴いて遊べ 』*(3) であるから間違いない。 ・・・みんなが知っている文部省唱歌の 「 鳩 」 ( 歌い出し 『 ぽっぽっぽ、鳩ぽっぽ 』 ) ではないと思う。こちらの 「 鳩 」 の方は M44年文部省制定だが、作詞・作曲・成立年とも不詳。

・ 『 べらんめーでこんちくしょうでやっつけろ 』 口の悪い江戸っ子弁。解説しない。 このフレーズ、異説あり。

・ 『 五月(さつき)の鯉の吹き流し 』 は広辞苑の 「 吹き流し 」 の中にもあることわざだが、その元は、『 江戸っ子は、五月の鯉の、吹き流し 』 という川柳のようだ。「 下の句 」 を付けた狂歌もあって、『 江戸っ子は、五月の鯉の、吹き流し、口先ばかりで、はらわたは無し 』 。 江戸っ子は口が悪く、(大きく口を開けて)威勢のいいことを言うが、腹にはなんにも無く空っぽだから、どんな酷いことを言われても気にすることはないよ、・・・というものだ。

・ そして 『 ア、何て間がいいんでしょう 』 と続いて 『 しょう 』 が 『 しょうじきじいさん 』に続く。

(2) 歌詞に異説あり。関東起源の歌と思うので、"異説" の方が正しいかも。

異説に、

正直爺さんポチ連れ
敵は百万ありとて
桃から産まれた
モシモシ カァカァ カラスの鳩ぽっぽ
ぽ〜っぽ ぽっぽと飛んで遊
べらぼうめコンチクショウのやっつけろ
皐月鯉の吹流し
何ていんでしょう(⇒最初に戻る)
https://uzumaki166.hatenadiary.org/entry/20051214/p1

正直じいさん ポチつれ(て)
てきは幾万ありとて(も)
ももから 生まれた
もしもし カァカァ カラスの ハトぽっぽ
ポーポッ ポッポ ポと とんで遊(べ)
べらぼーで こんちくしょうで やっつけろ
さつき こいのふきながし
なんて いんで(しょう)
(はじめに戻る)
http://web1.kcn.jp/hp23cx84/rec/u_endless.htm
などがある。

・・・ 異説のなかには 「 五月は の吹き流し 」 とするものもあるが、これはロマンチックな誤解だろうと思う。


reference
(1)   http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/momotarou02.html
                ブラウザによっては midi ファイルが自動ダウンロードされます。
(2)   https://www.youtube.com/watch?v=iG-SFwkgdCc
(3)   http://bunbun.boo.jp/okera/w_shouka/s_sengo/se1_hato_poppo.htm
                ブラウザによっては midi ファイルが自動ダウンロードされます。

改訂版への謝辞
    2月2日に初版を掲載したところ、先輩方から間違いの指摘などをいただき、早速改訂版を掲載しました。
    中塚様、中川様、荒川ご夫妻様、坂上様、ありがとうございました。
    先輩方の話によりますと、4年上の先輩も、1回生のときに先輩から教わったとのことです。
    古くからハイマート合唱団に伝わる歌なんでしょうか。

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FURUICHI, Makoto 2021/02/08