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談話室

 第47話-2 昨年:2020年3月に始まっていたイタリアのトリアージ

2021/01/19

医療崩壊~イタリア・感染爆発の果てに、というNHKの番組があって、ここでは新型コロナの医療チームが直面した、トリアージについての苦悩が紹介されていた。
イタリアでは2020年1月30日にはじめて新型コロナウイルス陽性者が確認され、翌1月31日には、イタリア政府は非常事態宣言を発出した。しかし2月下旬には北イタリアで感染が急拡大し、2月22日以降次第に封鎖される都市が増えていった。そのころはすでに医療崩壊の状態にあり、トリアージも始まっていった。

ミラノの北東に位置するベルガモ県のトリアージは、最初は点数制だった。
          
点数項目は4項目ある。
一つは年齢だ。90歳代以上は3点、80歳代は2点、70歳代は1点を与える。
次は基礎疾患についてだ。基礎疾患3種類以上は3点、2種類は2点、1種類は1点を与える。
そして他に2つの項目があり、全てで最高点となると、12点が与えられることになる。
救急搬送を依頼されると救急車は患者宅へ赴くが、もし患者の点数が10点以上とわかると、患者の搬送は行わず、救急車はカラで引き上げる。これがベルガモ県のトリアージの最初のガイドラインだった。         
      
ここまでが、私がNHKで見た番組の話。

以下は、その後調べた資料の話。



このベルガモ県のトリアージの最初のガイドラインは、遅くとも2020年3月16日には明らかにされていた。
          
ガイドラインの執筆者は複数の医師だが、高齢で回復が望めそうにない者、余命の短い者を見捨てるという厳しい結論を出している。年齢に加え、持病の有無など患者の全般的な健康状態も考慮すべきとされている。
https://newsphere.jp/national/20200316-1/     NewSphere 2020/03/16         
      


2020年3月22日付けでは、次の記事もある。
          
<イタリア、新型コロナウイルスがもたらす最悪の医療危機 現場に 「 患者選別 」 の重圧>
重要なファクターになるのは年齢と基礎疾患だ。家族がいるかどうかも大きい。 高齢の患者の場合、ICUから出た後、面倒を見てくれる家族がいるかどうかを考慮する。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/03/post-92818.php     NewsWeek Japan         
      


2020年3月30日付けでは、次の記事もある。
          
イタリア麻酔鎮痛集中治療学会は3月上旬、「命の選択」を迫られる現場の医師の判断を支える倫理指針を発表。集中治療を行うかどうかの判断については「最終的には年齢制限を設定する必要があるかもしれない」と盛り込んだ。 NEJMの記事は、年齢を判断基準の一つとする方針は現場で採用されており、目安を80歳から75歳に引き下げた病院もあると伝える。感染まで健康だった80歳の患者が呼吸器をつけられず死亡した例もあったという。イタリア国立衛生研究所の発表(27日現在)によると、感染者の年齢の中央値は62歳。死者のうち8割超を70歳以上が占めている。
https://square.umin.ac.jp/~massie-tmd/rsprtr_triage.html     毎日新聞 2020年3月30日         
      


そしてついに、80歳以上は治療しない、という、年齢で足切りするトリアージ基準が策定された。
          
医療崩壊を起こしているイタリアでは、80歳以上の高齢者に対する治療を断念するという衝撃的なニュースが報道された。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60231     日本ビジネスプレス 2020年4月21日         
      
最後の記事から9カ月、現在のイタリアの医療状況・トリアージの状況がどうなっているかはわかりません。


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FURUICHI, Makoto