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談話室

 第44話 地下鉄銀座線の上りと下り ?

2016/11/30


東京メトロの銀座線は、2016年11月5〜6日と19〜20日の計4日間、一部区間を終日運休し、渋谷駅の線路を176mにわたって南に約3.5m移動したルートに切り替えられた。渋谷駅のホームを約130m東に移設する工事の一環だ。

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私は11月5日に地下鉄南北線に乗っていて、銀座線の工事による運休の情報を知った。「 一部区間、上り下りとも運休 」 との車内表示だ。
ここで疑問がわいた。この運休そのものは上下線ともなので該当区間の全列車が運休とわかるが、例えば銀座線の上り線だけ運休と表示されたとき、渋谷行きか上野行か、どれだけの人がわかるだろうか?

・・・メトロの社員や一部の鉄道に詳しい人にはわかるだろう。しかしほとんどの人にはわからないはずだ。

次に車内表示が英語に切り替わって、上り下りは 「 inbound and outbound 」 と表示された。
続いてわいた疑問は、外国からの旅行者がこういう表示を見て、どちらの方面行きが in なのか out なのか、絶対にわからないだろうということ。なぜ、絶対に理解されない言葉遣いをするのだろう ?

・・・メトロの駅には 「 駅番号 」 の表示がある。銀座線のホームにさえ立てば、表示されている 「 駅番号 」 が若くなる方向が上りで、その逆が下りだとわかるではないか、と思われるかもしれない。

ところが話はそう簡単ではない。東京メトロの基本は、「上り」( 社内では 「 B線 」 といい、終点から起点方向をいう ) と 「下り」( 社内では「 A線 」 といい、起点から終点方向をいう )だが、2004年に導入された駅番号は、基本的に西・南から東・北方面に向かって振られていて、「上り」「下り」(「B線」「A線」)とは関係がないのだ。
運休情報で例えば 「 inbound 」 (上り線=B線) と表示されても、駅番号からはどちらの方向なのかわからない。

片方の線だけの運休だったらもう少しわかりやすい表示がされたのか? よくわからないが、見た範囲の情報では、「わかってもらわなくても良い」と考えて、でなければ何も考えずに、車内表示を出しているように思えてしまう。

さて・・・私は、この9月にイギリス旅行をして、ロンドンの地下鉄に、その滞在中毎日乗った。
( 参考 : Proms Last Night in the Park に参加

あらかじめ観光地巡りのためにロンドンの地下鉄網を研究していったが、駅にある表示はたいへんわかりやすいものだった。線区の方向表示は、見た範囲ではすべてeastbound(東行)、westbound(西行)、northbound(北行)、southbound(南行)の表示で、事前研究の路線網の知識が活用できた。
ただし事前研究と言っても、目的地へ行くには、ホテル最寄り駅から東行きの電車に乗って、○○駅で××線の南行きの電車に乗り換える、という程度なのだが、ロンドンの地下鉄の行先表示方法は知らずに行ったのだが、このような常識的な 「 行き方研究 」 がぴったりハマった。

ロンドンナビ スペシャル記事 ■ロンドンの地下鉄 より。 写真の Westbound の表示をご覧ください。

http://london.navi.com/special/5028825

東京の地下鉄も、この 東行・eastbound、西行・westbound、北行・northbound、南行・southbound に変更すれば、日本人旅客にもにも外国からの旅客にもわかりやすいと思う。今の表示は外国人に優しくない。
今の英語記述は、『 わかっている人にはわかる 』 けれども、『 わかっていない人にはわからない 』 記述だ。
これを、『 わかっていない人にもわかる・だれにでもわかる 』 記述があるのなら、そうしてほしい。2020年までに変えてほしい。

複雑な線区はどうするか。ロンドンでは 「 の 」 の字の路線のサークル線があって、ここでどう表示されているかは覚えがないが、そういうロンドンなどの外国の表示例を研究するか、環状の線区なら時計回り(clockwise)、反時計回り(anticlockwise)などの言葉を使えばわかりやすいだろう。

ついでに、JR山手線や大阪環状線の 「 内回り 」、「 外回り 」 は、どう英語表記されているか知らないが、直訳で英訳されているとしたら、外国からの観光客向けには良くない。新宿から池袋へ行きたいとき、大阪から天満へ行きたいとき、日本人とイギリス人は普通に 「 外回り 」 に乗ればよいと考えるが、アメリカ人は 「 内回り 」 に乗らなければならないと直感的に思ってしまうだろう。

アメリカでは車も電車も右側通行だからだ。アメリカだけでなく、多くの国は車は右側通行で、左側通行の国は日本・イギリスと、インド・オーストラリア・ニュージーランドなど旧イギリス連邦の一部の国々、イギリスの影響が強かった一部の国々・地域に限られる。

時計の針が回る方向なら、よほどへそ曲がりな時計は別として、万国共通だ。

なお、名古屋の地下鉄名城線の 「 右回り 」、「 左回り 」 は 「 時計回り 」、「 反時計回り 」 と同義なのだが、初めてその表示を見ると戸惑ってしまう。
ホームに貼ってある周回の路線図を見ると、上半分は時計回りが右回りとわかるが、下半分は左へ進む方向が時計回りではないか ???。
本来、右回りとは、移動体自身にとって、右へ右へと周回する方向、という定義だから、「 右回り 」 は 「 時計回り 」 と同義なのだが、そういう 「 定義 」 まで考えないと・・・ちょっと考え込んでしまう。


ネット上では、「 地下鉄の上り・下りを教えて! 」 という質問がよくあって、「 詳しい人 」 がそれに得意げに(?)答えているのだが、日本人からそういう質問が寄せられること自身、それがたいへんわかりにくいということだと証明している。「 地下鉄の行先表示の方法が不親切でわかりにくくなっているのだが・・・ 」 という回答があってもよさそうに思うのだけれど。



さらについでに。

ロンドンの地下鉄やバスなどの公共交通機関の利用には、スイカやパスモのような、「オイスターカード 」 で乗るのがお徳で主流だ。
私のイギリス旅行では、エジンバラからロンドンへ、日本で言えば新幹線のような、オイスターカードでは乗れない長距離特急で移動し、ロンドン・キングスクロス駅へ着くなり、乗り換える地下鉄駅でオイスターカードをデポジット込で自動券売機で購入して、以後の市内の移動に使った。
数日後ロンドンを離れて日本へ帰るときは、成田エクスプレスのような、やはりオイスターカードでは乗れないヒースローエクスプレスに乗る前に、その始発駅であるパディントン駅の自動券売機でオイスターカードを解約し、残額とデポジットの払い戻しを受けた。払戻し手数料はなかったと思う。
(ただし、事前に日本で買ったオイスターカードは払戻しできないらしい。現地で買ったビジターオイスターカードは払戻しできるが、10ポンド以下なら現金が取扱いできる大型の券売機で、その額を超えると窓口での対面払い戻しになる)

日本では、スイカ・パスモの購入は一部の自動券売機で可能だが、解約は、スイカはみどりの窓口、パスモは駅窓口。いすずれも解約手数料が210円がかかる。

日本でも無記名のスイカ/パスモは、駅の自動券売機で払戻しできるようにするのが良い。払戻し手数料なしで。
先ずは外国旅客がスイカ/パスモを以後使わなくなる、空港の駅から設置すれば?

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FURUICHI, Makoto