|
【2】 2007/07/15 発音指導聞き書きノート
熊坂牧子先生の、ドイツ語歌詞発音指導が行われた。
「カタカナ歌詞の譜もあるが、敢えて使わなかった」 との先生のお言葉に反するかも知れないが、敢えてカタカナで、特に注意することを書いておきます。
ほとんどは先生が直接指示されたことですが、中には先生の発音を私が聞き取った中で、「これは check ! 」 と書き留めたものもあります。・・・ただし、私の聞き取り違い、誤解も含まれているかも知れません。お気付きのところがあれば、furuichi@nifty.com (アドレスは全て半角)へお知らせ下さい。
以下、ページ番号・小節番号・練習番号はカワイ出版の版によります。
聞き書きノート
【P9, 238小節】
Freude! Freude!
|
◆" fr "の子音は、音符の前に発音する。拍の仕切を"|"で表すと、「フ|ロイ|デ」 と書けるかも知れないが、「フ」は" fu " ではない。 " f(rr) "(私の記号として、"(rr)"は巻き舌を表すものとします。以下同様。)である。・・・こういう表記の難しさ・不完全さが、「カタカナ譜は敢えて使わない」、という理由のひとつだろう。
|
【P10, 257小節 練習番号D】
Deine Zauber binden wieder, was die Mode streng geteilt;
|
◆Zauber は、「ッアゥベル」 というよりは、「ッアオベル」 に近い。
◆Deine Zauber binden wieder was die Mode streng geteilt; アンダーラインの言葉・音節は、あまりまじめに出さない。ドイツ語の歌は、拍のアタマにアクセントが来る。この楽譜の部分では1拍目と3拍目。拍のアタマでない、アンダーラインの言葉・音節は、あまりまじめに出さない方がよい。
◆streng // geteilt; 言葉の境ははっきり認識する。「シュトレーンゲー、タイルト〕ではいけない。あくまでも、「シュトレーン、ゲータイルト〕。
|
alle Menschen werden Brüder, wo dein sanfter Flügel weilt.
|
◆alle は、「アーレー」 ではいけない(それでは「鰻」になってしまう)。" ll " と、" l " が重なっている分、「アッレー」 に近い発音になる。
◆werden 「ヴェールデン」ではなく、「ヴィールデン」に近い。er の長母音は、「イー」に近くなる。
◆Brüder Uウムラウトは、「ウ」の発音で口を縦長に、口の中を狭くする。私の聞き取りでは、かなり「イー」に近くなる。Uウムラウトは「(ゥィー)、(ュィー)」などと書くことにしよう。
◆sanfter やさしさ、を持って歌いたい言葉。
◆Flügel 「フリューゲル」とならないように。Brüder と同じで、「フリ(ュィー)ゲル」。もともと日本語を表記するための「カタカナ」でドイツ語音を表記するのは難しい。
◆weilt ヴァーイルト、と長音で伸ばす言葉ということを忘れずに。
|
【P13, 285小節 練習番号E】
Ja, wer auch nur eine Seele sein nennt auf dem Erdenrunt !
|
◆auch, nur, auf は、「アウフ」「ヌール」「アウフ」 ではない。 「アオホ」「ノール」「アオフ」 に近い発音になる。
◆Seele 「ゼーレー」ではなく、「ズ(ィェー)レー」のような感じ。ee の二重母音は、「エ」の発音で口を狭くして「イー」に近くなる。
◆dem 「デーム」ではなく、「デ(ェィー)ム」の感じ。口を狭くして「ディーム」に近くなる。
◆Erdenrunt 「エールデーンルーント」ではなく、「エ(ェィー)ルデーンルーント」。狭くして「イールデーンルーント」に近い。r は巻き舌を使う。
|
Unt wer's nie gekonnt, der stehle weinend sich aus diesem Bunt .
|
◆Unt は、「ウント」 でなく、「オント」。
◆wer's 「ヴェールス」 と伸ばす意識を持って。
◆gekonnt 「ゲコーンート」、「 nn 」に対応するものだが、これは難しい。
◆stehle は、「シュテーレー」 でなく、「シュテ(ェィー)レー」。
◆weinend とてもやさしく歌いたい言葉。
◆aus は、「アウス」 でなく、「アオス」。
◆Bunt は、「ブント」 でなく、「ボーント」という感じ。
|
【P16, 313小節 練習番号G】
Küsse gab sie uns und Reben, einen Freund, gepüft im Tod ;
|
◆Küsse は、「キューセー」でなく「キ(ュィ)ッセー」の感じ。Uウムラウトもさることながら、「 ss 」に対応する、「ッ」にも注目
◆uns und 「ウンス ウント」ではなく、「オンス オント」。
◆Reben 「rrリ(ェィー)ベン」。巻き舌を使い、「 e 」は狭くする。「イー」に近くなる。
◆Freund 「frrロイント」。巻き舌を使う。
◆gepüft 「ゲプリ(ュィ)フト」。
|
Wollust ward dem Wurm gegeben, und der Cherub steht vor Gott.
|
◆Wurm は、「ヴールム」でなく「ヴォールム」の感じ。
◆gegeben 「ゲゲーベン」ではきたない。「ゲギーベン」に近い。
◆Cherub 「ケールプ」。
◆steht 「シティート」に近い。
◆Gott 繰り返しの最後の Gott は、「ゴーーーー (と十分に伸ばして、しっかりと)(ッ) tt 」。
◆und 「オント」 は既出。
|
【P21, 411小節】
Laufet Brüder eure Bahn, freudig, wie ein Held zum siegen.
|
◆Laufet は、「ラウフェト」でなく「ラオフェト」。
◆Brüder は既出。
|
【P26, 543小節 練習番号M】
Freude, schöner Götterfunken, Tochter aus Elysium,
|
◆Elysium は、「エリージウーム」と伸ばす感覚を忘れずに。
◆aus 「アオス」 は既出。
|
Wir betreten feuertrunken, Himmlische, dein Heiligtum !
|
◆betreten は、「ベトレ(ェィー)テン」。平行母音で「ベトリーテン」に近くなる。
◆Himmlische 「ヒーンムリーシェ」 。
「ン」は実際には「 m 」で、(山脈)「さんみゃく」の「ん」。
◆Heiligtum 「ハーィリヒトゥーム」の伸ばす感覚を忘れずに 。
|
【P30, 595小節】
Seid umschlungen, Millionen ! Diesen Kuß der Ganzen Welt !
|
◆umschlungen は、「オムシルンゲン」。
◆Kuß は「クース」ではなく「コス」。
|
Brüder ! über'm Sternenzelt muß ein lieber Vater wohnen.
【P33, 627小節】
Ihr stürzt nieder, Millionen ? Ahnest du den Schöpfer, Welt ?
|
◆stürzt は、「シト(ュィ)ルツト」。
◆den は「ディェン」という感じだった。
|
Such' ihn über'm Sternenzelt ! Über Sternen muß er Wohnen.
この日は発音練習のあと、少し歌う時間がありました。しかしその録音を聞いてみると・・・何度聞いても、「ダイネー ッアウベール ・・・」「アーレーメーンシェーン・・」「ヴェールデーン ブリューデール ・・・ フリューゲル ・・・」 と聞こえました。
それが、「カタカナで歌詞を書くのはよろしくない」 と言われながら、敢えて書いた理由。
聞いて、知ることは易しくても、それを自分で実行することは難しい。
例えば今まで永年自分の「くせ」のままに「第九」を歌ってきた者には、1時間半の練習でそれを抜くのは難しい。何回も「今回の第九の発音」をチェックして、時間をかけないといけないだろうと思ったから。
おわり(07/15)
|
|
|